谷口隆志
Takashi Taniguchi
現・全日本実業団少林寺拳法連盟名誉会長

(財)中小企業国際人材育成事業団・顧問
元・労働事務次官
会報少林寺拳法2004年4月号 (抜粋)

戦後まもなく開祖宗道臣によって創始された少林寺拳法は、自己確立・自他共楽の教えと高い技術をもとに新生日本の「人づくり」を担ってきました。
復興に向けて日本経済を支えてきた企業・官公庁にも少林寺拳法部が各地で芽生え、現在では関東・東海・関西の実業団連盟が各職域少林寺拳法部の母体となって「人づくり」を目指し、職場の仲間に潤いと希望を与えるべく幸福運動に邁進しています。
1973(昭和48年)、第1回全国実業団連盟大会では中国大使館より李連慶参事官らをお招きし、日中交流の大きな一助となりました。
2000(平成12)年10月の全日本実業団30周年記念大会には奥田碩日本経済団体連合会会長(当時)に大会特別顧問就任を賜りました。同氏の武道団体大会顧問就任はきわめて異例で、経済界からの実業団連盟への期待の大きさを示すものとなりました。
また、昨年は第35回洋上大学(「若い根っ子の会」主催)で宗由貴総裁の特別講演と拳士による演武が行われ、満場の共感を呼び、ここでも少林寺拳法への認識と評価が高まりました。
さて、混乱の戦後期ははるか以前に脱したものの、昨今の「爛熟社会」の不安、混乱の有り様は看過することができません。長引く不況の中で日本経済は袋小路から抜け出せず、治安も悪化の一途にあります。世界各地でテロ、紛争、戦争が絶えることなく、国の内外が新たな不安定の時代になってきています。
こうした時期にこそ、少林寺拳法グループの存在が世界的意義を持つことを再認識する次第です。先の宗総裁の中国国家友誼賞受賞はその観点において、今後より一層の国際貢献への期待が込められたものと思えるのです。
一衣帯水の日中両国の友好・平和から、アジア諸国、さらに七つの海を越え世界へと、理想境建設のメッセージを発信する少林寺拳法グループには、とりわけ開発途上国における諸問題(貧困、飢餓、疾病、環境等)の解決への積極的提案と貢献が求められるでしょう。草の根の国際交流を図りたいものです。
そして、忘れてならないのは、やはり「人づくり」です。無私なる情熱と信念を持ち、正義感も人間味もある「真の勇者」を育成することは、私どもに託された実にやりがいのある事業なのです。
開祖の原点と宗由貴総裁の行動力をバネに、実業団連盟は「職場から世界まで」理想境建設に全国の職域拳士とともに歩み続けます。