谷口隆志
Takashi Taniguchi
現・全日本、関東実業団少林寺拳法連盟名誉会長

(財)中小企業国際人材育成事業団・顧問
元・労働事務次官
心のオリンピックを築こう (2004年度関東実業団大会挨拶より)

2004年少林寺拳法関東実業団大会にご多端にもかかわりませず、ご来駕賜りましたご来賓、ご来場者各位に、まずもって衷心より御礼申し上げます。

秋の一日、本日の大会に備え修練を積んできた関東実業団連盟傘下拳士の真摯な演武をご高覧下さりますれば、主催者一同、何よりの励みとなります。

本年はオリンピック発祥の地アテネで夏期オリンピック大会が開かれました。日本選手団は史上最高のメダル獲得数となり世界的な注目を集めました。各選手の姿勢も好感を招き、女子レスリング大会で3位銅メダルに輝いた浜口京子選手は「結果は銅メダルでしたが、私の人生のなかでは金メダルとなりました。」とコメントし、話題を呼びました。体操男子団体優勝をはじめ、全体として大きな感動と爽やかさが印象に残った大会でした。オリンピック選手団には実業団選手の比重も高く、これを機に低迷気味と言われてきた全国各地の実業団スポーツ界の裾野において振興発展が図られるなら、幸いに存じます。

9月には、福祉のオリンピックと言われる「パラリンピック(国際身体障害者スポーツ大会)」もアテネで開催されました。ノーマライゼーションが叫ばれる今日、ハンディをものともせずスポーツマン精神を十二分に発揮し栄冠をめざした出場選手の躍動感あふれる姿を見聞でき、先の夏期オリンピックに勝るとも劣らない感銘を覚えたものです。

しかし、二つのオリンピックと前後して、イラクでは戦後統治の正常化が難航しテロが後を絶たず、ロシア南部北オセチア共和国ベスランでも死傷者が数百名に及ぶ学校テロ事件が発生するなど、人類の願う平和と繁栄が未だ遠い目標であるのは残念でなりません。

ところで、少林寺拳法は従来、競技種目・試合で選手個人の優劣を判定することに距離を置いてきました。他者との競争によらず協力して創る形としての「組演武」を少林寺拳法の自己確立・自他共楽の精神の発露とし、そのあり方を創始以来世に問うてきました。 演武する拳士個人の技術レベルがいかに高くとも、ペアで総合的評価を得られない限り大会入賞できないという仕組み、構成と相互到達度が評価につながるというあり方は単に演武にとどまらず、こうした形態が職場での日常の連携・協力協同・切磋琢磨につながるという思いが私が実業団連盟の組織を預かって以来、少林寺拳法に惹きつけられてきた大きな要因と言えます。もとより、実業団連盟の使命は宗道臣開祖提唱の「自己確立・自他共楽の理想境づくり」とそれを担う「人づくり」を職域分野で受け持つことにあると確信するところです。また、実業団拳士は今後とも家庭・地域・職域・社会で平和と繁栄を次代に築く不断の努力を続けます。これこそ「日常の武道」と呼べるものでありましょう。

ご周知のとおり、今春の第36回洋上大学グァム・サイパン訪問もお陰をもちまして、成功裡に周航・帰港いたしました。(財)少林寺拳法連盟本部職員、石井宏明関東実業団連盟相談役ほかも船上の人となり、少林寺拳法の名を大いに高めてくれました。この洋上大学は、宗由貴総裁にも少林寺拳法の理念を社会に広げる大きな機会として、深くご賛同頂いておりますが、今後とも皆様の幅広いご支援、ご参加をお願い申し上げるものです。

最後になりましたが、今大会開催にご尽力いただいた実行委員・スタッフ・拳士各位に感謝申し上げるとともに諸氏の一層の発展を祈念し、私のご挨拶とさせていただきます。