谷口隆志
Takashi Taniguchi
現・全日本、関東実業団少林寺拳法連盟名誉会長

(財)中小企業国際人材育成事業団・顧問
元・労働事務次官
人間の豊かさ創造にむけて (2005年度関東実業団大会挨拶より)

本大会にご来駕賜りました来賓・来場者の皆様には、衷心より御礼申し上げます。
実業団連盟のモットーは、家族ぐるみ、職場ぐるみ、さらには横のつながりで自他共楽を満喫することにあり、それが本大会に反映されているなら幸いに存じます。

さて、国連開発計画(UNDP)はこの9月、2005年版「人間開発報告書HDR(Human Development Report)を発表しました。これによると、日本は健康、教育など「人間の豊かさ」を測る人間開発指数で177カ国中11位(前年は9位)、女性の政治・経済分野への進出を示す「性別権利指数GEM(gender empowerment measure)」では43位(前年38位)と先進国としては極端に低い数値を示されました。

日本は90,91,93年と人間開発指数1位を保持していましたが、バブル崩壊による経済低迷で順位が後退し、2000年以降昨年までは9位。国の借金770兆円を抱えていることも災いし、今年はベストテンにも入れない有り様です。因みに1位は高福祉国のノルウェーで、それにアイスランド、オーストラリアが続いております。 

GEMに至っては、日本より一つ上位のタンザニア(42位)は人間開発指数では164位。日本のアンバランスが目立ちます。日本は「人間の豊かさ」「女性の社会進出」の観点からは住みにくい国とされ、向上心を得るための生涯学習への時間が少ないと見なされています。国民の生活環境・職場環境等々に国連機関から警鐘を鳴らされ、順位低下に甘んじているのは極めて不本意なことであります。しかし、考えるなら、むしろ、「自己確立・自他共楽・理想境実現」の理念を本旨とする私どもに大いに活躍の場を与えられたものと闘志が湧きます。七転び八起きの精神が武器なのです。

心の時代と言われる今日、生涯学習としての少林寺拳法、日常の武道としての少林寺拳法、人々の生活向上のサポーターとしての少林寺拳法の有用性を全国の職域に拡げていくこと、拳士各自が社会の一隅を照らすたいまつとなることを願う次第です。

また本年一月、実業団連盟の積年の社会貢献、日中友好の先駆的役割が評され、松木長實・全日本実業団連盟副会長が日本武道功労章を受賞。(於・日本武道館、塩川正十郎日本武道協議会会長より賞状授与される。)私どもの大きな励みとなりました。

戦後60年にあたる本年、今一度、平和の大切さを思い起こすならば、戦争を絶対に起こしてはならないという開祖の願いから開創された少林寺拳法の愛民愛郷の精神と世界平和の理念普及は、イラク戦争・テロ攻撃・宗教対立や民族紛争が激化する今日、ますます重要な使命となっています。実業団連盟の拳士には、職域のリーダーとなって職場の活性化を担い、全国の職域で手を結び日本経済の向上、福祉の改善、平和のための社会貢献に資すことが託されています。近い将来、国連統計で日本が平和普及で上位にランクされることを目標に全国の拳士ととも奮闘したいものです。

「国造りは人造り」と言いますが、人を育てる場としての職域少林寺拳法部の一層の振興発展を願い、人間の豊かさの創造、平和と繁栄にむけ日々の精進と一層の努力をお誓い申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。