関東実業団連盟ボランティア参戦記 3
     - 2012年 関東実業団連盟 SKボランティア -
※ 関東実業団連盟は東日本大震災の復興支援を長期的に支援していきます
これは、ボランティア活動に参加した1部長の目線を通した活動のレポートです。 文責 山下(日本IBM)


JFE千葉の内館拳士

根本理事長

東洋エンジニア 生方先生

大館市少林寺拳法協会の小林先生
■ 地道な戦い
「今日はこの道両側の側溝の泥出しをやります。側溝の中は3.11のままです」畠山先生が皆に言った。
交差点から交差点まで距離にして約100メートル。道の両側に側溝があるので、トータル200メートルとなる。そしてよく見ると側溝のサイズが東京よりも大きい。深いし、蓋は2倍ぐらいの厚みがあった。
ここで活躍したのがボランティア・センター貸出しの「どぶ太郎」君。2人1組で使うある種の「やっとこ」と言えば良いだろうか。畠山先生の門下生の方が「使い方を説明しますので、足腰に自信のある方、お集まりください」と大声で言った。私は椎間板ヘルニアの腰痛持ちなので、この手の作業は危険だ。他の作業にまわることにした。

説明が終わった後、なんとなく秋田大館チームと実業団チームに分かれて道の両側をそれぞれ担当するような形で始まった・・・が、しばらくしても、実業団側は誰もどぶ太郎を使おうとしない。そりゃあそうだわ。こんなコンクリートの塊を200個も持ち上げるなんてできれば誰かにやってもらいたい作業だ。根性見せるっていったってこんな重労働は若手の仕事だ。若い連中の根性を見せてもらおうと周りを見渡すと自分が若手であることに気がついた。仕事を選り好みしようとしていた自分に気がついた。JFE少林寺拳法部から参加の内舘拳士と組んで私は蓋を開けることにした。
JFE千葉から参加の内館拳士。連盟の行事にはよく来られる方なのですっかり顔が売れている。東北ボランティアも昨年に続いて2回目の参加となる。
合言葉は「ご安全に!」だ。

蓋は重かった。腰を痛めぬよう体軸を垂直に保ったまま、膝の曲げ伸ばしで蓋を持ちあげた。だが、横にずらして置く際に、足の上に落とさぬよう気をつけて動くとどうしても体軸の垂直をキープできない。いろいろと調整してみたが、これだけは回避策が見つからなかった。側溝作業だけに私の腰はソッコウで悲鳴をあげた。 ←オヤジギャグ
5、6枚蓋をずらしたら少し休み、また作業をするという形で繰り返した。

蓋開けがなかなか進まないのは、単に重いからだけではない。蓋の周囲は砂や小石が隙間を埋めていた。スコップで隙間に埋まった小石や泥をかき出し、バールを隙間に入れて揺らしながら隙間を広げ、それからどぶ太郎をかませて持ち上げる。しかも持ち上がりかけてもどこかで小石がちょっと引っかかるとそこで止まってしまうこともしばしば、小石をどけようにも雑草の根が絡まってこれがまた結構曲者なのだ。

大変なのは蓋開だけではない。泥の掻き出し作業も一筋縄ではいかなかった。蓋を開けたところには水を吸った重い泥が溜まっていた。蓋の無いところは流されてきた瓦礫や石が泥の中に埋まっていた。スコップの先が石に当たればそこで止まる。手首に衝撃が走る。かといって力を入れないとやっぱり深くは刺さらない。石をかわすようスコップの先をグリグリと動かすと重いし、時折泥も跳ねる。泥といってもヘドロだ。匂いもキツイ・・・単純ではあるが、遅々として進まない気の遠くなるような作業だった。

最初こそなんとなく道路の向こう側とこちら側を秋田チームと関東チームに分かれて作業していたのだが、それもすぐなくなった。そんなこと言ってられなかった。誰も指示を出さないなか、個人が判断するしかない。どこで何の作業をしたら、一番効率的か。おもしろいものだ、自然と自発的に全体は最適化が計られていく。

しばらく作業を進めていると秋田大館の小林先生が走ってきた。「たったいま側溝の中を歩いていて、靴の横からガラスの破片が刺さってしまった人が出ました。傷は浅く大したことはありませんが、感染が心配です。皆さんも気をつけてください。」そう言ってまた向こうに行かれ注意を促していた。そうだ慣れた頃が危ない。たかがどぶさらいだが、気を抜くわけにはいかない。

またしばらく作業をしていたら根本理事長に声を掛けられた「お昼と午後の飲み物は足りますかね」。
根本先生はJFE千葉少林寺拳法部の部長であり、言わずと知れた関東実業団連盟理事長である。根本理事長の気配りの細かさは凄い。ここでもその気配り力は遺憾なく発揮されたわけだが、根本理事長の面白いところは気配りだけではないことだ。力任せに主張を押し通すことはないが、ここぞというところは引かない。ちょっと眉間にしわを寄せて「私達がやらないといけないと思うんですよね〜」と言うのだ、そして不思議なことにそう言われるとなんとなく皆がそちらの方向に進んでいくのだ。実業団連盟の40周年記念式典もそうだったしその他の様々な新しい取り組みもそうして進んできた。
その根本理事長が飲み物を心配されていた。確かに17人分の用意はしてきたが50名分のシミュレートはしていない。今のうち手を打っておくべきだろうと思った。

畠山先生の姪子さんのトヨコさんに車を出してもらい、東洋エンジニアリングの生方先生と一緒に買い出しに云った。

スーパーに向かう途中トヨコさんに聞いてみた。「ボランティアの人数が大分減ったようですが」。彼女が言うには高速道路無料サービスがなくなったのが大きいのではなかという。9月の連休の時はもっと多かったが、この10月の連休はガクッと減ったという。仕方ないのかもしれないが残念なことだと思う。

買い出し先のスーパーはMAIYA。作業場所のすぐ前にボロボロにされたMAIYAの旧店舗が立っていた。たしか3階建だったと思う。今は車で10分ほど内陸に入った県道沿いに平屋の店舗で再開していた。ここで24本入りペットボトルを4箱購入した。脱水症状など洒落にならないので予防策はしっかりとりたかった。
それにしても手元に使えるお金があるのは助かる。立て替えだの皆から新たに徴収などと言っていたら効率が悪すぎる。関東実業団連盟がフットワークをキープできるのは生方先生の手腕によるところが大きい。
生方先生は関東実業団連盟の会計を一手に引き受けてくださっている。東北大学少林寺拳法部のOBでもあり、東北の地に少林寺拳法を広めた太田達男先生の薫陶を受け、今でも関東実業団大会には現役選手として出場している無類の拳法好きだ。仕事はキッチリこなすが、同時にひょうきんな一面も持っている。今回は一人夜の新幹線で千葉のご自宅まで帰る。家族思いのやさしいパパでもあった。

秋田大館の小林先生が作業風景を背景に同行したNHKと毎日新聞の取材を受けていた。秋田地区だけの放送のようだが理解者賛同者増につながりそうだ。なるほどこういう支援活動もあるのかと思った。小林先生は噂どおりのヤリ手だ。

つづく

 
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