関東実業団連盟ボランティア参戦記 5
     - 2012年 関東実業団連盟 SKボランティア -
※ 関東実業団連盟は東日本大震災の復興支援を長期的に支援していきます
これは、ボランティア活動に参加した1部長の目線を通した活動のレポートです。 文責 山下(日本IBM)


首都高速 工藤先生

農林水産省 武田先生

東京港区役所 橋本先生

富士通ゼネラル 椛島拳士
■ それでも動き続ける
道を挟んだ向かい側に昨年草刈りをした田圃があった。ここも予想以上にキレイに区画が切られていて驚いた。昨年の作業は無駄ではなかったのだと私は小さな達成感を味わうことができた。実は午前の作業中ネガティブな考えに私は襲われていた。今やっている作業に意味はあるのだろうかと思ったのだ。やがて重機が入り街づくりが始まった時、今どぶさらいしている側溝はあっさり潰されてそのうえに新しい街が塗り替えられておしまいではないかと思ったのだ。いやいや、現地に集まって作業することに意味がある。それによって現地の人達に一人ではないのだとアピールできるからだ、という理屈もあるだろうが、地元の人が誰もいないこんなところで作業をしていて本当にアピールになるのだろうかとも思った。そんな無力感の中、間違いなく再建に向けて舵を切っている溜池と田圃を見て、私は小さな自信を持つことができた。

その後、みんなで海沿いに出てみた。ほんの1年半前なら高田松原が目の前に広がっていたことだろう。最後まで頑張った希望の一本松も先日切り倒されてしまい、かつてそこに日本百景のひとつに数えられた松原があったとは想像できなかった。
震災前、高速バスの停車場として使われていたホテルは取り壊されるのと待ったまま、ほぼ昨年のまま残っていた。遠くの野球場のナイター照明が真っ赤に錆びていた。

午後の作業が始まった。午前中と同じどぶの蓋を開け、泥をかき出す単純作業の繰り返しだ。
午前中に比べ、明らかに作業ペースが落ちている。疲れのせいだろう。ただ使命感からはそれでも作業は止まらなかった。皆無口になっていった。

ふと見ると農林水産省の武田先生と首都高速の工藤先生の最年長コンビがどぶ太郎で重いコンクリートの蓋を持ちあげていた。単純な重労働を繰り返す二人はほとんどマシーンと化していた。
武田先生は今回の最年長参加者。しかし日頃の農作業で鍛えた体は予想以上に頑丈だ。無言のまま働き弱音を吐くことはない。小兵ではあるがかつて実業団連盟の5代目理事長も務められた方だ。
一方の工藤先生も本部期生100期台の古い先生だ。実業団連盟立ち上げ時から連盟の中心でご活躍され3代目理事長を務められた。道院を持たずに八段まで上り詰めた初の実業団支部長でもある。奥様、お子さんの証言から想像すると若い頃から少林寺拳法中心の生活で、指導はスパルタだったようだ。私は丸くなられた後の工藤先生しか知らないが面倒見の良い優しい先生だ。

港区役所の橋本先生がもくもくと作業をしていた。今回女性の参加者が2名いたがそのうちの一人が橋本先生だ。今年初参加となる。
関東実業団の荒くれ理事達では気の回らないところをいつもフォローしてくれている。今回もボランティア保険の加入を取りまとめてくれた。またいつも理事会では途中のブレイクタイムで甘いお菓子を配ってくれる気遣いの持ち主だ。今日は先ほどの昼食の時に「えいようかん」なるお菓子を配ってくれた。保存の効くパワーフードのようだ。

もう一人の女性メンバーは富士通ゼネラルから参加の椛島さんだ。関東実業団大会でも入賞常連組の一人だ。彼女が笑うと周囲がパッと明るくなるムードメーカーだ。

13時半頃だろうか、ふと頭をあげて全体を見渡すと全ての蓋が開けられているのが目に入った。壮観だった。この勢いだと今日中にこの道の両側だけは綺麗に泥さらいができるのではないだろうか。遠くにあったゴールが射程距離に入ってきた気がした。

また1時間ぐらいたった頃だったろうか。作業の内容が変わってきた。泥を掻き出すのではなく蓋を元の位置に戻すための溝の清掃作業になってきた。清掃作業といってもホウキがあるわけではない。水道があるわけではない。側溝に溜まっている泥水をバケツでくみ上げ、それを掛けながらスコップで泥を落とす地道な作業だ。私は私で、一旦掻きだしたヘドロが再び側溝に入らないよう、鍬をつかってヘドロの山を均す作業をした。時折、錆びた裁ちバサミやスプーンなど1年半前まで普通に生活に使われていた道具が顔を出す。疲れ過ぎて現実感も希薄になっていたが思いがけずこういった品を見つけるたび、改めて3.11の震災が現実のものだったのだと思い知らされた。

それにしてもこの日は曇天で助かった。比較的涼しいなかでの作業だったため体力の浪費が抑えられた。そんな中、予定より早く作業終了となった。100メートルの道の両側、併せて200メートルの側溝を綺麗にどぶさらいした。達成感はバリバリだ。この勢いでもう少し作業範囲を広げるべきかとチラと思った。いやいや欲をだしてはいけない。作業が早くに終わったなら、早目に上がるのが良いだろう。

これから再びボランティア・センターに向かい、機材の洗浄と返却がある。このあたり昨年も参加しているので要領は分かっている。ラッシュにかち合うと大変だ、幸い一番手で帰ってきたようだ。他の地区へ向かった方々はまだ戻ってきていない。洗い場が混む前に手際よく片づけてしまおう。
こうしてこの日の作業が終わった。

16時少し前だったろうか、最後に畠山先生から全員にねぎらいの言葉を頂いた。
今夜関東実業団は拠点には泊まらず、隣の大船渡市に抜けて旅館に泊まる。私達のボランティア作業はここまで、ここから先はご褒美タイムとなる。

つづく

 
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